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院内ケア NO.232

      2021年7月発行




七夕について


七夕は「 たなばた 」または「 しちせき 」とも読み、

古くから行われている日本のお祭り行事で、一年間の重要な節句を

あらわす行事ともいわれています。

毎年7月7日の夜に、願いごとを書いた短冊や飾りを笹の葉につるし、

星にお祈りをする習慣が今も残ります。

みなさんも子供のころ、たくさんの短冊をつるして

織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)にお願いごとをしたのではないでしょうか?

今回はそんな七夕行事の現代までの歴史などについてご紹介します。

七夕の起源

七夕の起源には数多く説がありますが、その中の3つをご紹介します。


(1)もともと日本の神事であった「棚機(たなばた)」

古い日本の禊ぎ(みそぎ)行事でのことで、

乙女が着物を織って棚にそなえ、神さまを迎えて秋の豊作を祈ったり

人々の穢れをはらうというものでした。

乙女は「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれ、清い水辺にある機屋(はたや)

にこもって神さまのために心をこめて着物を織ったといわれています。

そのときに使われたのが「棚機」(たなばた)」という織り機であり、現在七夕

という二文字で「たなばた」と当て字で読んでいるのも、ここから来ていると言われています。

やがて仏教が伝わると、この行事はお盆を迎える準備として7月7日の夜に行われるようになりました。


(2)織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)の伝説

琴座のベガと呼ばれる織女(しょくじょ)星は裁縫の仕事、

鷲(わし)座のアルタイルと呼ばれる牽牛(けんぎゅう)星は農業の仕事を

つかさどる星と考えられていました。

この二つの星は旧暦7月7日に天の川をはさんで最も光り輝いているよう

に見えることから、中国でこの日を一年一度のめぐりあいの日と考え、

七夕ストーリーが生まれました。


~七夕の雨~ 二人は会える?会えない?

七夕の夜、少しでも雨が降れば二人は会えないと伝えるところもあれば、

雨でも二人は出会える、雨はおりひめのうれし涙で雨の水でけがれが

洗われるなどとする所もあります。

一方、二人が会えば疫病がはやるとして、会わないように雨を願う所もありました。

昔は七夕は旧暦の七月七日(八月十二日ごろ)に行われていたため、

干ばつに苦しんでいた地方の人々が雨を願った、ということもあるようです。



(3)奈良時代に中国から伝来した「乞巧奠(きこうでん)」

「乞巧奠(きこうでん)」は、中国の行事で7月7日に織女星にあやかって

はた織りや裁縫(さいほう)が上達するようにとお祈りをする風習から

生まれました。

庭先の祭壇(さいだん)に針(はり)などをそなえて、星に祈りを捧げていました。

やがてはた織りだけでなく芸事や書道などの上達も願うようになったと

いわれています。


日本に伝わった七夕行事

平安時代に日本に伝わると、宮中行事として七夕行事が

行われるようになりました。

宮中の人々は桃や梨、なす、うり、大豆、干し鯛、アワビ

などを供えて星をながめ、香をたいて、音楽を奏でて、詩歌を

楽しみました。

サトイモの葉にたまった夜つゆを「天の川のしずく」と考えて、

それで墨を溶かし梶の葉に和歌を書いて願いごとをしていました。


※梶は古くから神聖な木とされ、祭具として多くの場面で使われてきました。


時代をめぐり、江戸時代になると、七夕は庶民の間にも広まりました。

人々は野菜や果物をそなえて、詩歌や習いごとの上達を願いました。

梶の葉のかわりに五つの色の短冊に色々な願い事を書いて笹竹につるし、

星に祈るお祭りと変わりその風習が全国へとひろがっていきました。




7月7日の七夕の夜、おりひめとひこぼしは待ちに待った

「再会」という願いをかなえます。

人々は「二人のように、願い事がかないますように」と、

たんざくに色々な願い事を書いて、

笹や竹の葉に飾るようになりました。

冬でも緑を保ち、まっすぐ育つ生命力にあふれた笹や竹には、

昔から不思議な力があると言あわれ、神聖な植物ゆえに、

そこに神を宿すことができるとも言われています。

祭りの後、竹や笹を川や海に飾りごと流す風習には、竹や笹に

けがれを持っていってもらうという意味があります。








七夕の日に食べるもの

索餅(さくべい)

小麦粉や餅粉をひねって揚げたお菓子で、唐の時代に日本に伝わりました。

今でも奈良県では「麦縄」と呼ばれ、親しまれています。








素麺(そうめん)

索餅(さくべい)が、だんだんと進化していったもの

がそうめんで、油を塗ってひねり乾かした索餅は、

そうめんと形が似ていおり、

さらに、そうめんが織姫を連想させる織り糸に似て

いたことから、徐々にそうめんが供えられ、食べられるようになったといわれています。








七夕飾りにもいみが?

折り紙で作る七夕飾りにはいくつかの種類があり、「七つ飾り」と呼ばれます。

それぞれに意味が込められています。

●吹き流し

機織りやお裁縫の上達を願う飾りです。かつての宮中儀式で、五色の糸を長い針に通してお供えしていたものを、紙で表現したものです。


●くずかご

清潔、倹約を意味しています。七夕飾りを作るときに出た紙くずを入れて飾ることも。


●網(あみ)飾り

漁業の網(あみ)から生まれた飾りです。大漁を祈願しています。


●折鶴

家内安全や、長寿を願う飾りです。千羽鶴にする場合もあります。


●巾着(きんちゃく)

金運の上昇や、貯蓄を願って飾ります。財布の場合もあります。


●紙衣(かみこ)

折り紙で作った人形や着物の形のもののこと。裁縫の上達を願うほか、病気や災いの身代わりになってもらうという意味もあります。


●短冊

「五色の短冊」に願い事を書いて飾ります。五色とは、赤・黒(紫)・青・白・黄のこと。




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